先進の半導体デバイスシミュレータ

State-of-the-art device simulator

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  •    LASTIPの概要

  • LASTIPは2次元構造モデルに基づいて半導体レーザーのシミュレーションを行うための 強力なデバイスシミュレーションプログラムです。構造と物質を定義するだけで、 半導体レーザーの様々な特性をシミュレーションにより計算します。 シミュレーションは既に確立された高度な物理モデルに基づいて実行されますので、 ユーザーは半導体レーザーの諸特性についての定量的な知見を得ることができます。
    LASTIPは新しいレーザーデバイスを設計・最適化する際のCADツールとして使用することができます。 LASTIPの物理モデルと高度な性能により、ユーザーは数値的なモデリング作業をコンピュータに 任せてデバイスの最適化と設計に専念することができます。
    LASTIPは半導体レーザーの2次元断面における注入電流と光学横モードとの関係の モデリングに使用することができます。

  •    LASTIPの主な機能

  • LASTIPの基本パッケージには以下のようなデータを出力する機能がありますが、 他にも多数の機能を持っています。

  • 光出力−電流(L-I)特性
  • 電流−電圧(I-V)特性
  • 2次元ポテンシャル、電場、電流分布
  • 電子とホール密度の2次元分布
  • 様々なバイアス条件の下でのバンド図
  • 半導体中の深いレベルのトラップの占有数と密度の2次元分布
  • 2次元多重横モードの光学場分布
  • 2次元局所光学利得分布
  • バイアス電流に対するモード別屈折率依存性
  • バイアス電流に対するモード別利得と屈折率変化の依存性
  • 電流に対する自発放出スペクトルの依存性
  • Far-field 分布
  • 上記の全ての量の時間発展(過渡的モデル)と温度依存性(一様温度)
  •    LASTIPで既に定義されている物質

  • GaAs/AlGaAs, InGaAs/AlGaAs, InGaAsP, InGaAlAs, InGaAlP, InGaAsP/InGaAlAs-InP, GaSb/AlAsSb, ZnSe ベースの II-VI 化合物と、GaN ベースの化合物。

  •    LASTIPの物理モデルと高度な機能

  • 高度な機能とは、電場に依存した移動度、非線形利得抑制、Far-Field 放射パターンの計算、低温におけるシミュレーション、基本方程式は完全に連立な形で ニュートン法によって自己無撞着的に解かれます。
    高精度のシミュレーションデータを得るため、LASTIPでは以下のような物理モデルが採用されています。

  • 量子井戸におけるサブバンドは正確なキャリア密度と光学利得を計算できるように解かれます。
  • 歪みのある量子井戸は k・p 理論で取り扱われます。LASTIPは荷電子バンド混合効果を2次元シミュレーションに取り入れることができます。
  • 量子井戸やバルク物質の光学利得は、有効質量やバンドギャップ等の物質パラメータから計算されます。
  • キャリア間散乱機構を含む利得のぼけは、Lorentz型、Landsberg型、Asada型などの精巧なモデルによって計算されます。
  • キャリア再結合モデルには、 SRH (Shockley-Read-Hall) 再結合モデル、Auger 再結合モデル、誘導・自発的放出による再結合モデルが用いられています。
  • 深いレベルのトラップと動力学モデルは半絶縁体的な半導体の正確な設計のために導入されています。
  • 青色レーザーに用いられている II-VI族化合物の正確なモデリングのために、電場に誘起された電離不純物のための Poole-Frenkel モデルが導入されています。
  • 境界面での状態は、表面フェルミ準位のピン止め、境界面での再結合、固定された電荷を考慮して精密に計算されます。
  • バルクと量子井戸中のキャリア濃度はフェルミ分布によって正確に計算されます。
  • ドープされた不純物の荷電状態を精密に記述するために、不完全イオン化モデルが用いられています。
  •    LASTIPで用いられている基本的な方程式

  • 半導体レーザーの任意の2次元断面において、LASTIPは以下のような基本的な方程式を連続発振又は過渡的条件で解いています。

  • ポアソン方程式はへテロ界面を含む半導体レーザーのポテンシャルと電荷の関係を記述します。
  • 電子とホールの流れに関する時間依存の連続方程式はキャリアの再結合関係を支配します。
  • 熱電子放出モデルは量子井戸、傾斜又は急峻なヘテロ界面間のキャリア輸送を記述します。
  • 複雑な波動方程式により、光学場の縦・横方向の分布が複素屈折率に基づいて計算されます。また、高度な数値解析技術により多重横モードを計算することもできます。
  • 時間依存性の入った光子の確率方程式により、光出力とモード利得、再結合の関係が得られます。
  • 有限要素法(FEM)により微分方程式は離散化されます。FEMは任意のレーザー形状を取り扱うのに理想的な手法です。